人形 描画


子どもは、とても楽しかったり、何かを発見してびっくりしたり、
心が揺さぶられると、それを表現したくなるものです。
 描いたりつくったりする活動はどの子もとても大好きです。
 それは、子どもの深いところの喜びを満たすからだろうと私たちは考えています。
 やまのこでは、毎日ごはんを食べることと同じように、生活の中で、日々の中で、
作ったり描いたりすることを大切にしています。

子どもたちの絵には、ひとりひとりの身体や心の育ちが関わっています。
私たちは丁寧に発達のことを学びながら、描画や造形活動を取り入れています。


子どもの発達と描画


1歳代・なぐりがき期
  歩き始めの頃の絵は、絵を描くというより手の運動のあとです。絵を描く活動の誕生の時期です。
描画1
1歳頃
 歩けるようになり、手が自由になってなぐりがきが始まります。肩の関節を軸にしたなぐりがきです。
描画2
1歳2〜3ヶ月頃
 発達した肘の関節を軸にした線
描画3
1歳半頃から
 肩と肘が同時に動きダイナミックな大きい渦巻き型のグルグル丸が描けるようになります。
描画4
1歳10ヶ月頃から
 肩・肘さらにスムーズになってきた手首の関節を軸に小さいグルグル丸も描けるようになってきます。
2歳代・意味づけ・見立て・つもり期
  2歳を過ぎた子どもはほんとうによく動きます。そんな子どもがじっと動かず、何かをつまんで集中していることがよくあります。これは手の動きが肩から 肘、肘から手首へとだんだん末端に成熟してきていることを意味しています。この時期になると手の動きを目で追えるようになり、言葉で意味づけをするように なります。
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意識してみながら描く
 サインペンなどで絵を描く時、注意深く目で指先を見ながら描くようになってきます。絵を描くという行為に手の働きだけでなく目の働きが加わってきたのです。
描画6
丸が閉じる(2歳3ヶ月前後)
 はじめと終わりのある線が描けるようになるのは手の働きだけでなく、目の働きが結びついて初めてできる高度な力が育ってきたということです。

線がことばで意味づけられる
 1歳の頃の「ぶーぶー」などの1語文ではなく2歳児は「〜したい」とか「だれだれの」という2語文「○○ではなく△△だ」という多語文を使えるようになり、自分のイメージで描いた丸や線に意味づけをはじめるようになります。
描画7
変わる意味づけ
 2歳児前後から始まる最初の意味づけは、初めに「お母さんを見立てて描いたグルグル丸」が、後で「何か描いたの」と尋ねると「パパ」と途中で変わってしまうのです。イメージのゆたかな子どもほど、ひとつの丸を、いろいろなものに見立てる力をもっています。
描画8
初めから意味づけられた絵
 グルグル丸や丸にいろいろなイメージを見立ててきた子どもたちは、だんだん初めから「お母さんを描こう」と目的意識的に描き始めます。
描画9
丸のファンファーレ
 2歳代後半から閉じた丸に意味を持たせてお話をゆたかにしてきます。これを私たちは丸のファンファーレと言っています。これらのお話に耳を傾けると生活やお友達とのあそびを豊かなイメージでいきいきと表現していることがつたわってきます。
3歳代・象徴期
  3歳児は、手の働きも益々活発になり、身の回りのことを自分でできるようになります。だから自信たっぷりで「〜しよう」「〜したい」という意志も意欲も一層高まってきます。又、自分と他人、大きい小さいなど、二つの対の世界が分かってくる頃です。
描画10
中身のある絵
 3歳児の目覚ましい発達の中で、大きい丸小さい丸、たてや横の線に託して子どもの思いを表現していきます。
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頭部人間登場
 3歳前後から、丸や点々や横線だけの頭部人間が現れることがあります。丸や直線にいろいろなものを意味づけて表現する能力が進んできている頃です。この 能力は言葉の働きの発達を示すのです。目の前に無いものを頭に思い浮かべる力(イメージ)が育ってきているのです。だから、イメージする力(創造力)を育 てるためにも形を教えないことが大切なのです。
ことばの発達と絵の発展
 1歳から3歳ごろまでの絵は主として手の働きに導かれて発達してきました。それに対して、4歳から8歳ごろまでの幼児の絵は、言葉の発達に導かれて発達していきます。
4歳代
 4歳ごろになると、子どもたちは言葉がもっているイメージでものごとを見たり考えたりできるようになります。同じ四つ足で歩く動物でも犬と猫と馬の違い や共通するものから「動物」という認識などが出来るようになってきます。こうして、4歳ごろには益々、言語量と表現力を拡大し、イメージする力を発達させ ていきます。
描画12
頭部人間から頭足人間へ
 早い子で3歳後半、ふつうは4歳ぐらいから頭から手や足が出る「頭足人間」を書き始めます。
 足が機能してくると子どもたちにとって足が大きな存在となって絵に出てくるわけです。既に手が出てくる子もいます。その子どもの手の働きが発達してきていることを表します。このように自分の印象に強いものを絵で描いて表していくのです。
描画13
自分のイメージで絵を描く
 4歳の頃になると「お父さんを描こうか」 などイメージを与えて描かせることができるようになります、目の前にいないお父さんを思い浮かべて描くことが できるのです。4歳児はそのつものりの中身も言葉によって具体的にイメージに結んでから形らしきものを描くようになります。
印象の強いものは大きく
 子どもは自分の印象の強いものを大きく描く傾向があります。いつも叱ったり優しい言葉をかけてくれるお母さんの口がすごく大きかったりするのです。
描画14
4歳後半、カタログのような一見ばらばらの絵
ものを並べて描くだけの表現
 4歳から5歳にかけて、子どもは一枚の画用紙の中に様々な形を描くようになります。絵全体としてはまとまっていません。でも子どもにじっくりと話を聞いてみると子どもの頭の中ではつながっていて「なるほど」と思うことがよくあります。
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時の流れをひとつの画面に表現
 時間の経過を一枚の画面の中で、同時に表してしまう方法を同存表現といいます。左記の絵は遠足に行ったときの行きと帰りとなる道程が描き込まれています。
5歳〜6歳代
 5歳ごろになると物事の一つ一つの性質が益々分かってきます。人間は頭、首、肩、おなか、足、ひざというものがあることやその形や関係も分かってくるので、人間の絵も服を着ているように描きます。

興味を持ったとおりに描く絵
 まだ5歳では物と物との関係まではきちんと描ききれず、興味や関心があるものだけを”知ったとおり”に描きますから、そのときの興味で描いたり描かな かったりということがあります。このように興味のあるものだけを見たとおりではなく知ったとおりに描くおいう特徴は9歳の絵の転換期まで続きます。
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基底線登場
 5歳後半から6歳近くになると、グー・チョキ・パーの3つの関係が分かりいろいろな関係への理解や表現が広がってきます。これらは絵の中にも現れてきます。それは地面や水平線を表す為の基底線の登場につながります。
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見えないものも見えるように描く
 左記の「お魚を釣っている」絵を観てください。この絵の基底線の線です。この線の上側が会場で下側は海の中です。水面を基底線にして海の上と下に区分さ れているために、海中の魚たちは実際にはこんな見え方はしないのにまるで見えているように表現しています。このような表現形式をレントゲン描法と言いま す。




     各年齢ごと・クラスごとの取り組み

年齢ごとに取り組んでいる造形活動を紹介します。

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